陰謀論者X

バイスの陰謀論者Xのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.0
アメリカが世界第3位の産油国であるイラクの石油をぶん盗ろうと「イラクは大量破壊兵器を所有してアメリカを狙っているッ‼️ 早くイラクを攻撃しないとアメリカがやられるンだッ‼️」などとヒステリックな難癖を吹っかけて戦争を開始したのはマイケル・ムーアのドキュメンタリー映画を観ずとも周知の事実ではあるが、そのイラク戦争を煽り仕切っていたチェイニー副大統領と米政権中枢にいた愉快なワルたちを描いた今作😇

このチェイニー副大統領、若い頃は二回も投獄され電気工から立身出世した苦労人ではあるのだが、妻の内助の功に支えられて家族のために身を粉にして頑張るアメリカンパパを体現している善人として描かれる……途中に挿入されるエンドクレジットまでは。ブッシュ家の問題児ジョージ(記者に靴を投げられた大統領をサム・ロックウェルが好演😇)がチェイニーに副大統領になるように要請してきた事から彼の人生も大きく動き始める。

限りなく怪しい選挙結果で大統領になってしまった親の七光り&バカ息子のジョージを傀儡にして、摂関政治で栄華を築いた藤原氏のように「一元的執政府論」を免罪符に権力を掌握し、イラク戦争に突入していく姿は破滅的ではある。資本主義国家アメリカの国益やCEOを務めていた石油関連の多国籍企業・ハリバートン社のためにシンプルに動いた結果(イラク戦争後に同社の株価が500パーセントにアップしたというのは最早ギャグ)が、今世紀初頭から現在にまで続く世界の混乱ではあるのでやはりトンデモなく罪深い人間である😇

盟友のラムズフェルド元国務長官なんかSWに登場するシスの暗黒卿みたいな顔してますからね。さしづめアメリカは銀河帝国みたいなもので、そんな国の蛮行に対して諫言すら出来ない我が国の主権とは一体何なのかと思ったり、そんな恐ろしい国と同盟国で良かったなどと日和ったり😇

21世紀の始まりの年に起きた米同時多発テロの映像をリアルタイムで見た時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。それを「チャンス」と考える悪魔的発想と、国益の為と信じて疑わないタフな狂信的愛国者の政治家の存在は、平成の30年間で先進国のなか唯一凋落してしまった我が国に足りない必要悪なのかもしれない😇
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