ShinMakita

一級機密のShinMakitaのレビュー・感想・評価

一級機密(2016年製作の映画)
1.9

韓国陸軍中領パク・デイクは、基地勤務から国防部へ栄転となった。新たな役職は航空部品購買課課長。その名の通り軍航空機の部品を買い付けるのが職務だ。直属上司のチョン将軍以下、同僚も部下も和気あいあいで良い職場だなぁと喜んでいたが、ある日、戦闘機パイロットのカンから陳情を受け、業務に疑問を持ち始める。カンの搭乗する機の操舵制御装置が外資エアスター社製のクズ同然なシロモノで、国産の物と取り替えてほしいというのだ。最近頻発している戦闘機墜落事故は、この装置の不備からくるものだと訴えるカン。その真剣な訴えに気圧され調べてみると、エアスター社製の航空部品のみ他社と競合させることなく大量に採用されており、その購入価格も原価の何百倍もの値段であることが分かった。この操作を指揮するチョン将軍は、エアスターから多額の賄賂を受け取って便宜を図っていたのだ。自分の職場が汚職の温床となっていることに気づいたパクは内部告発を決意するのだが…


「一級機密」。シネマート恒例、反逆の韓国ノワール特集の一本。

以下、一級のネタバレ(笑)


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一言で言えば、「空飛ぶタイヤ・キムチ味」です。もちろんノワールではありません。

韓国映画の二大題材といえば〈南北問題〉と〈汚職・接待〉ですが、本作はガッツリ後者について攻めた作品。奇をてらった演出も斬新さもなく、トラディショナルに汚職の闇が描かれていく、大変見やすい映画でした。タイトルの一級機密がどんな意味なのかはクライマックスで判明しますが、それを逆手にとるオチがかなり見事。オススメです。ラスト、この映画の元ネタになった実際の汚職事件についてテロップが出るのですが、何と元ネタは3つもあるんですよ。3回も同じこと繰り返している韓国軍の体質、国としてどうかしてますよね。パクの笛、まさに「国家の緊急事態」だからこそのSOSと捉えていいでしょうな。言っておきますが、国家の緊急事態に軍人がSOSを発して終わる映画はこれだけじゃありません。トミー・リー・ジョーンズの「告発のとき」を見ればわかるように、アメリカだって同じなんですよ。
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