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ミレニアム・マンボのzoeのレビュー・感想・評価

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)
3.9
CHiiCOさんに教えていただいた作品。やっと鑑賞できました。

ビッキーが10年前の自分のことを“彼女”と呼ぶとこから始まる喪失と愛と再生の物語。

『愛される一瞬が彼女(わたし)のすべてになる』

彼女が愛されているその刹那、彼女は確かに輝いていた。

観ている側である私からしたらハオはただただ酷い男だったけど、彼女にとってはあまりにも長い時間を共に過ごした相手で、そう簡単には見切りをつけられない、離れたくてもすぐには離れられないようなひとだったのかな。

彼女がハオから離れて、ガオとの時間を過ごして、新しい愛を見つけたと思ったのも束の間だったように見えたけどそれだけが全てではなくて、きっと彼女は自分の生活を手に入れたんだろう。

あの後、彼女がガオと会えたのか、現在の彼女はどんな生活をしていて誰と一緒にその毎日を過ごしているのか気になるけど心配する必要はきっと無くて、彼女はもう大丈夫な気がする。

過去の自分のことを“彼女”と呼ぶのがすごく良い。

映像が好みでした。色鮮やかな空間でうんざりするほどだらだらと続くビッキーとハオのやりとりや、北海道の自然のなかで若者らしくはしゃぐビッキーと淳と康や、温かい色味に包まれたビッキーとガオの緩徐な会話。ピンぼけなども相まって、なんとも感覚的で催眠術にかけられたかのようにふわふわする。

少しだったけど、彼女が話す日本語がすごく可愛かった。北海道の夕張の街並み、降り積もった雪はもちろん、夕張映画祭中だったということもあってか街に沢山あったあの映画の看板がすごく素敵だった。北海道は行ったことないから行ってみたくなった。

どこか近くの小さいシアターで上映してくれないかな。映画館でこの映画を体験したい。
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