趣里の大きな怪演を支える、菅田将暉演じる津奈木のより大きく静かな佇まいが素晴らしかった。
生きているだけでしんどいこの世界の片隅で、めんどくさい男と、めんどくさい女が、めんどくさい人に振り回されながら、安易に死を選ばず2人今夜も寄り添っているのだと思うと、僕は大きな愛に包まれているような安心感に満たされる。
しみたれた2人に晴天は到底似合わず、遠くに見える角海老のネオンと野毛の飲み屋街、そして曇天の横浜の低層階の屋上ぐらいがちょうどいいと思った。
いい面構えの街なんだよと、横浜に住んでいることを人に初めて自慢したくなった。