みなと

生きてるだけで、愛。のみなとのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.5
現状を打破したいけど、皆と同じようにできない無力感、皆と違う疎外感や孤独…。本来なら蓋をして生きることも出来るかもしれないけど、愚直に自分の内面と戦いながら生きる寧子の姿は愛おしい。クライマックスで自分の感情をぶつけて欲しい旨の台詞があるが、恋愛に限らず相手の顔色を伺ってばかりで本当の意味でのコミュニケーションを放棄ぎみであろう我々の警鐘なようにも感じられた。また、どんなに自分に嫌気がさしても自分とは別れられないという台詞は印象的。一瞬だとしても相手と分かり合える関係は素敵だな。津奈木も寧子とは違うベクトルで自分自身に絶望しつつももがき戦っている姿は格好良い。作中で走ったり、全裸になったりするシーンがあるが、「素の心で生きる」という暗喩なのかと思ってみたり。街並みだったり役者の表情だったり素敵な作品であった。
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