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冴えない彼女(ヒロイン)の育てかた Fine(フィーネ)のEegikのネタバレレビュー・内容・結末

1.0

このレビューはネタバレを含みます


ライトノベルの原作は未読。数年前にTVシリーズをニコ生一挙で観たような覚えがある(完走したかは覚えていない)が、評判の良い劇場版は観ていなかったのでdアニメストアニコニコ支店でみた。


はい。まっっったく好みじゃなかった。青春恋愛アニメが好きといいつつ、自分はこういうハーレムラノベ系がいちばん嫌いだということがよーーくわかった。

2時間ずっとキモくて地獄のような時間だったし、キモいことも展開のテンプレ感もキャラの記号性もすべて作中でメタ言及されているからその点での否定はお門違いです〜、と予防線を張る構造になっているのが本当にしょうもない。

自分は「面倒くさいヒロインが好き」だとよく言っているが、加藤恵はまったく普通の女の子でも面倒くさいヒロインでもない。面倒くさい女の子というのは『海がきこえる』の里伽子のようなキャラのことを言う。加藤恵は徹頭徹尾、主人公に都合の良いつまらないキャラクターだった。そういうキャラが、作中で「面倒くさい女の子」と言及されることの醜悪さがわかるか?

というか、作中のどの人物もまったく魅力的には思えない。えりりとかも、とりあえず女の子キャラに涙目で微笑ませておけば負けヒロインとしておいしく消費できるっしょ?、という魂胆が丸わかりで本当によくない。「倫理くんの恋を応援する」という発想をサブヒロイン(CV茅野愛衣さん)が言い出すのもうげーって感じだし、負けヒロイン同士で慰めるのも頭を抱える。そもそも「メインヒロイン」というのを「現実」の女子に使うどころか、女子自身に内面化させて発言させている、その本シリーズの根本のコンセプトからして悪だとしか感じないので、ほんとうに自分には合っていない。丸戸史明なんだけどなぁ……

そもそも論でいえば、創作と恋愛を重ね合わせて物語る構造自体がマジでしょうもないと思う。

CV松岡禎丞の男主人公が典型的なラノベ無個性主人公で、まったく魅力的に見えないので、そういう男に惚れ込んでいるヒロインも全員まったく魅力的に見えない。

あと、作中で2回ほど、盛り上がるシーンのあとに「実はあのとき……」と、感動バフのためのシームレス過去回想があったが、この演出もまったく意味がわからない。回想であるとわかりにくいし、わかったとしても後出しジャンケンのようで白けるし、単純に感情をいちどぶつ切りにされるのでマイナスだし。挿入歌の使い方も全然気に入らなかった。

そして何より、キモいキモいと言いつつ、キモさでも新海誠や三秋縋には到底及んでいない、中途半端でいちばん虚無のキモさなので救いようがない。突き抜けてすらいない、無難にオタク受けしそうな記号を散りばめて、それをメタっぽい雰囲気で煙に巻いて騙している作品。

「劇場版で化ける」と聞いていたが、それはあくまでTVシリーズが少なくともそこそこ楽しめた人間がさらに大満足できる、という意味での進化/先鋭化であって、TVシリーズの時点で苦手だな〜キモいな〜と思っている人間からすれば、ダメなところが洗練されているので更に評価が悪くなる、というのがどうやら真相のようだ。

こういうのが評価されているなら、自分はマジで今後一生ラノベ読まなくてもいいかなと思う。丸戸さんはノベルゲームに早く戻ってきてほしい。


あと、これはぜんぜん関係ないけど、相米慎二作品を立て続けに観てからこういうアニメを鑑賞すると、キャラクターの顔(や身体)のクロースショットが多すぎて退屈/辟易する。それも顔を真正面からバカ正直に映すカットが。キャラクター産業なのだから仕方がないのだけれど。。。
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