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父、帰るのまのネタバレレビュー・内容・結末

父、帰る(2003年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

生意気だけどまだ自立はできない、小学生くらいの年頃の少年が主人公。
ちょっとグレてる年上の友達に、ハシゴで登った高所から海に飛び込めるか?と試されるシーンから始まる。これはイニシエーションの象徴で、この映画の一つのテーマだと思う。

面白いのは、構成・テーマの繰り返しがあること。
冒頭の家まで兄弟が追いかけっこをするシーンは、ラストのイヴァンを兄と父が追うシーンと重なる。
上記のイニシエーションのテーマはラストシーンでも表されている。イニシエーションを通過した結果として得たものが父の事故死、という不条理さ。
その後、父の遺体をボートまで運ぶシーンでも、繰り返しがある。中盤の車が泥にはまったシーンで、兄のアンドレイは枝を使って車を脱出させる方法を父から学ぶ。この方法は、不運にも父の遺体の運搬に活用されるわけである。

謎が残る映画でもある。父は結局、何をしてきたのか、誰だったのか、「用事」とはなんだったのか、掘り出した小箱はなんだったのか、誰に電話をかけていたのか。父の名前さえも劇中では明かされていないことが象徴的である。
その辺りを知りたい、と思って最後まで観た視聴者に対しても、この映画は不条理を突きつける。全然別ジャンルだけどプライベートライアンの真逆かよ。

画もロケーションもすごく綺麗だし、かなり気に入った。

ちなみに、メイキングでは父親役の役者がこどもたちと戯れていて、にっこり。むしろ監督の方がカリカリしていて笑った。
ま