ウルフガー

来るのウルフガーのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
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アマゾンプライムにて視聴。面白いね。唯一無二の作品だろう。ホラーの体裁はとっているが怖がらせようという意図はあまりないと思われる。昔ながらの家庭の欺瞞をホラーの形を借りて表現する手法で後半になるとそれも前振りにすぎずえらい大ごとになっていく。何の事前情報もなく劇場で観たかった。

序盤はかなり見づらかった。撮影や役者の芝居がクオリティが高いものだから逆に入っていけないというか、私はキャラやストーリーを追うことによって映画に入るのだが中島監督は恐らくそういう手法を信じていないのか、伏線として情報だけ与えられている感じでかなり意識的に集中する必要があった。

中盤でとある人物が死に視点が他の人物になっていろいろ与えられていた情報が覆されてくる時点で物語的な面白さにようやく夢中になれた。役者さんの芝居は本当に全員いい。後半の盛り上がりもちょっと笑ってしまうくらいだった。

終わり方やエンドクレジットもスパッとしていていいなあ。観客に媚びない姿勢を徹底している感じ。そういうのがとっつきにくい時もあるけどこのテーマに関してはウェットになりがちなのでこれで正解だったと思う。

愛の力でどうのこうのってなりがちだけどそういうの一切なかったからね。そういう邦画のエンターテインメントにありがちな良くないところがなかったという意味で「来る」と「シン・ゴジラ」は似たような評価の仕方ができるかもしれない。

中島監督の役者さんの芝居のさせ方や絡ませ方、撮り方などは伊丹十三監督を思い起こさせるものがある。
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