富田健裕

天然☆生活の富田健裕のレビュー・感想・評価

天然☆生活(2018年製作の映画)
3.5
不仲だった従妹同士の友情の再生。
旧友を交えての青春カムバック。
都会への憧れと嫉妬と反骨を抱きながらも、ほのぼのとしている田舎生活。
何とも暖かで、人間っていいなと感じさせてくれる。
武骨で頑固な年上の従妹、脳内年齢が小6のまま止まっている同級生、二人の間に挟まれ眉間に皺を寄せながらも笑顔を絶やさない主人公。
三人の織り成す人間賛歌は実に穏やかで、上質たるコメディの雰囲気が立ち上っていた序盤。

いやはや、見立てが甘かった。

作品が中盤を越してからはゴリゴリのヒューマンホラーにテイストが豹変。
救いなどという言葉はいっさい無い。
今思えば、確かに最初から何だかおかしな雰囲気もあったような。
目の前で亀が踏み殺されるわ、人間の顔が破裂するわ、籠城、美人局、未成年暴行疑惑、もう何でもござれ。遂にはホームレスが光り輝き神になる。

笑顔で近付いてきた天使に眼前で真顔の張り手を喰らわされた気分で劇場を後にした。

物凄く良い映画体験をさせて貰えたけれど、やはり主人公があそこまで救われない作品は気分が重たくなる。年上の従妹と旧友にも何かの罰を与えてほしかった。
富田健裕

富田健裕