一本のシュートで三点差を逆転する事は不可能だ。
少なくても四本のシュートを打たなければならないし、
その場合、全てのシュートをゴールに納めなければならない。
それは、一つの試合で四点取る以上に難しいことだろう。
地道に地道にパスを繋ぎ、
時に敵の守備に弾き返されながら、
息も絶え絶え打ったシュートは明後日の方向へ。
次第に疲れが見え始め、
仲間との呼吸が乱れ、
疑心暗鬼が生まれ、
気付いた時には敵に主導権を握られてしまう場合もある。
それでも、勝ちたいのなら何とかしなければならない。
0-3で負けているのであれば、
とりあえず一点返さなければならない。
返さなければならないのは常に一点で、
それを四回くり返す。
手を変え品を変えても良い。
愚直に馬鹿の一つ覚えを徹底したっていい。
試合はレフェリーが止めてくれる。
試合終了の笛が鳴るまでは、
選手は走り続けなければ。
一日ずつ、一つずつ、少しずつ。
そんなテーマの本作が意外にもなかなかの駆け足だった事はやや残念であった。