りっく

ヘレディタリー/継承のりっくのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.8
冒頭より窓枠越しに家の外にある高床の小屋が映された後、キャメラはゆっくりとパンし、この家とそっくりなドールハウスを映す。そして次の瞬間、人形だったドールハウスの部屋が、実際の部屋と人間に移り変わっている。この冒頭から、本作は何かに覗かれている違和感を無意識のうちに刷り込まれ、そして大きな手のひらに転がされているような予感を植え付けられる。

本作はそんな違和感や予感に、神話や儀式を絡め、さらにあまりにも不気味な存在感の少女と、母親役のトニコレットの文字通り熱演により、得体は知れないが、どこか地続きで真実味のある恐怖として、どんなに人間というちっぽけな存在がもがいても抗えないような大きな力がにじり寄り、支配されるまでを描いて見せる。

ショック描写、スプラッター描写も目を見張るものがあり、鳥の首をハサミで切った後に、息苦しさから窓を開けて顔を出したことのによって電信柱に衝突し首がもげる娘、それは母親に継承され、まるで糸鋸で木を切るように、釣った自分の首を左右に動かし転がっていくという、首にまつわる切り株描写も鮮烈な印象を植え付ける。
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