明石です

アンセイン ~狂気の真実~の明石ですのレビュー・感想・評価

3.8
ストーカーにまとわりつかれ精神を病んだ女性が、カウンセリングに行った先で、精神科医に誤診(?)され、強制的に精神病院へ閉じ込められてしまう話。

主人公の頭がおかしいのか周囲がおかしいのか、いずれも判然としない状態で物語が進み、だんだんと種明かしがされていくという展開は王道ながら惹きつけられる。ソダーバーグの映画なのでおそらくはもっと何かあるだろうと期待してたら、、ありましたね。彼女の気狂いでも当局の職権濫用でもなく、まさかのストーカーの計画だったという、常軌を逸した人怖展開が。

以前、精神病院側の利益という勝手な都合によって何年も病院に監禁された人たちの実話を記録したルポルタージュを読んだことがあって、トラウマ級の胸糞悪さをおぼえた記憶があるのですが、そのおかげで、本作はちょっとだけマイルドに思えた。病院による強制的な拘束が最大7日間までというのは、アメリカの精神病院は優しいですね(日本は世界的に見ても強制入院の期間が桁外れに長いらしく、それこそ40年以上不当に収容されてた人の実話も読んだ、、)。法に触れて正式に拘束されるのとは違って、本人の意思や言動とは関係なく、本当に「不当」に拘束され得るのが精神病院を題材にした作品のリアルに怖いところだと思う。

全体的には『チェンジリング』と『フェイシズ』を足して2で割ったようなお話で、どちらも好きな人はけっこうハマれる気がする。ストーカーの頭のイカれ具合が度を越しているおかげで、胸糞悪さよりもゾクゾク感の方が遥かに大きいし。そしてストーカーはいなくなっても、トラウマは残り続けることを予感させるピリリとした後味の終わり方も好きでした。良作!!
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