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ゲームオーバー!のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ゲームオーバー!(2018年製作の映画)
3.5
【オタク映画の模範】
先日、友人からNetflixにて配信の『ゲームオーバー!』をオススメされた。どうやら『ダイ・ハード』のオタク版らしい。最近は、MUBIの高カロリーアート映画や日本未公開の謎映画。「死ぬまでに観たい映画1001本」対象作にサンクスシアターものを観て追い込んでいたので、たまにはこういったポップコーンムービーを観て箸休めをしたいところだ。というわけで観ました。

日本にはカルチャー闇鍋ものというジャンルがあると思っている。「銀魂」や「斉木楠雄のΨ難」、「魔法少女 俺」といった作品がそれに該当する。要約するならば、ある世界を舞台にしつつも現実社会にあるカルチャーや時事問題を作品に取り入れる。また、アニメや漫画のクリシェをそのキャラクターたちにやらせる、そのシチュエーションの差で笑いを取るといった技法を得意とするジャンルである。これは海外にも存在し、アニメだと「サウスパーク」「ザ・シンプソンズ」が該当する。

さて、そんなカルチャー闇鍋ものの映画がNetfflixから出ていた。『ゲームオーバー!』では、映画ネタを擦り倒しながら描いていくアクションコメディだ。『ハングオーバー!』シリーズを彷彿とさせる冴えない男3人組のどんちゃん騒ぎから始まり、『ダイ・ハード』的展開を魅せていくので映画好きの関心をひく内容になっている。

本作は、コンドームを見て『フラバー』みたいだと揶揄するネタ等自分だけで笑ってしまっているものが少なくないのですが、時折驚くような演出を魅せてくれるので憎めない。

その最たるものは、『ダイ・ハード』の屋外から敵のいるフロアに突入する場面の唐突な挿入であろう。『ダイ・ハード』をテーマにしている為、肝心な突入の部分は真面目に作ってある。ここには好感を抱いた。

また惜しい部分として、テロリストがムカデ人間拷問を始めようとするのだが、対象者が欲情して性癖を覚醒させてしまうギャグがある。Netflixならではのハードコアなグロ描写を売りにしているのなら、ここはもう少し頑張って、欲情した男がうっかり下痢をして、それを呑んでしまうくらいは踏み込んでもよかったと思う。また、犬と水槽を使った『シャイニング』オマージュはカットを割りすぎていて、ネタ自体は面白いもののオマージュとしては微妙なところがありました。

ただ、この映画は目くじら立てるような映画ではありません。75点くらいのものを75点で仕上げてくるタイプの映画である。こういう映画は必要であると私は思っています。
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