豚肉丸

5時から7時までのクレオの豚肉丸のレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
4.0
癌の検査結果が出るまでの二時間の間に、様々な人と会話して死について思索するお話

冒頭、カラーの映像でタロットカードが捲られる。それぞれ三枚ずつ「過去」「現在」「未来」がカードによって示され、本当にその通りに映画が進んでいく。タロットカードが描いた未来そのまんまで進んでいくことが冒頭で明示されるから、物語の主題と構成はあっさりわかってしまう。しかし、この映画自体物語性は少なくてドキュメンタリー調でクレオの二時間が描かれるだけだから別に問題は無いのか。

「二時間後自分の未来が決まる」という結末が用意されており、主人公のクレオは様々な人と会話をして二時間を過ごす。このあらすじ自体は面白いんだけど、いざ映画として見るとそこまで面白くはなっていなかったような...
終盤の兵士が現れてからの会話は面白いんだけど、それまでがどうも退屈で地味。二時間を描くだけの映画だから当たり前ではあるが...面白い場面や印象に残る演出も少なくて全体的に地味な印象を受けた。
冒頭のタロットカードの演出は面白いんだけどね。

でも、物語の着地点はなかなか良い。死という誰もが逃れられない物事に向き合って、自分なりの落としどころをつける。
最近の映画でも使われる「人と会話をし自分の内面と向き合って、自分なりに納得する」というプロットはもうこの時代から完成されていたのか。
豚肉丸

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