まいこ

追想のまいこのレビュー・感想・評価

追想(2018年製作の映画)
3.7
『レディ・バード』などのシアーシャ・ローナンを主演に迎え、イアン・マキューアンの小説「初夜」を映画化したラブストーリー。20代の夫婦が新婚初夜の出来事が原因で、その後の人生にほころびが生まれるさまを描写する。

1962年夏のロンドンで、バイオリニストのフローレンスは、歴史学者志望の若者エドワードに恋をする。二人は結婚し、ハネムーンは風光明媚なドーセット州チェジル・ビーチに決める。だが、ホテルで二人きりになった彼らは、新婚初夜を迎える高ぶりとストレスから口げんかになり、フローレンスはホテルを出てしまう。

マリッジブルーと幸福の青いワンピース
シアーシャ・ローナンとビリー・ホールの会話劇。保守的な家庭とそうでない者の婚姻、性への意識、21世紀の恋愛観で語られるべきでない問題。
そもそもこの舞台の年代は1962→1975→2007と変化していくところが味噌であり、故に現代の価値観を当てて観ること自体がナンセンス。
フローレンスのような過去や考えを持っている人は年代問わずいるはずで、本作はそこをさらっと撫でるようにしか描いていないのが大変わかりづらい。カメラが"中立"を保っているからか?

ただ、ネガティブな過去が……というステレオタイプな視点からアセクシャル寄りに逸脱しても受け入れられる作りになっていただろう。
話をああやって続けるなら最終的な着地点はやはり"歩み寄り"。それに対する愉しさは感じとれないし今更「幻滅」なんて文脈読み取れなかったな。と、読み手によってフローレンスの解釈が多種多様になるさまが面白い。余白さいこ〜。

いずれにせよ、終盤の畳み掛けが好みだったので原作も読みたいなあ。

老けていく姿がリアルで違和感なし。エンディング前の画は、ぼんやりとした美しさがあり、これを超えるラストはなかなか無いのでは?と思うほどに好き。

シーンがところどころ英国コメディなのは皮肉?そこだけ気に食わない。
まいこ

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