追想の作品情報・感想・評価

追想2018年製作の映画)

On Chesil Beach

上映日:2018年08月10日

製作国:

上映時間:110分

あらすじ

1962 年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な 空気が社会を包んでいた。そんななか、若きバイオリニストのフローレンスは歴史学者を目指すエドワードと恋に落ち、人生をともに歩むことを決意する。結婚式を無事に終えた 2 人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。しかし、ホテルで…

1962 年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な 空気が社会を包んでいた。そんななか、若きバイオリニストのフローレンスは歴史学者を目指すエドワードと恋に落ち、人生をともに歩むことを決意する。結婚式を無事に終えた 2 人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。しかし、ホテルで 2 人きりになると、初夜を迎える緊張と興奮から、雰囲気は気まずくなるばかり。ついに口論となり、フローレンス はホテルを飛び出してしまうのだった。家庭環境や生い立ちがまるで違う2人であっても深く愛し合っていたが、愛しているからこそ生 じてしまった“ボタンの掛け違い”。それは、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまう。フローレンスとエドワードにと って、生涯忘れることのできない初夜。その一部始終が明かされる……。

「追想」に投稿された感想・評価

natsumi

natsumiの感想・評価

3.3
当時流行りのジャズが好きなエドワードとクラシック音楽が好きなフローレンス。一目惚れで恋に落ちた若い二人には音楽の趣味や階級の差を乗り越えるよりも更なる試練が待ち受けていた。

前半は過去と現在を頻繁に行ったり来たりする構成で、ようやく話に入り込めると思ったタイミングでプツンとシーン転換。感情移入がしにくい。LGBTQ+の中ではなかなか扱われないアセクシャルな関係が珍しく描かれているが、結局最後に残るのは失敗に終わった初恋の物語。それでも別れた後何年後の偶然が重なった超ベタな展開は蛇足感もあるしずるいけど、切なくて好きなんだよな〜。シアーシャローナンの演技も今回微妙だったのが残念。ビリーホールが超レッドメイン。とてもイギリスらしい美しさと気まずさを揃えた笑っちゃいけないラブコメディだった。

全体的には微妙なんだけど余韻が残るし、ぼーっとまだ映画のこと考えている。なんか観て良かった。
ikumura

ikumuraの感想・評価

3.6
後日談に行くまでは近年見た中で最高の映画かも!と思ったなあ。ストーリーの流れについてはあらすじの通りだけど、出身階級差から来るコンプレックスをこじらせてしまうエドワードが本当に痛い・・・そして結局それに流されないフロレンスが強いということなのかな。後日談については余計な付け足しのような感じもあるし、変に感傷的になるのが逆に理解できないとこだったりもするのだが、「人生ってこんなものかもなあ」という感想を抱きました(笑)
イアン・マキューアンの小説を映画化した本作は、ほぼ一目惚れで恋に落ち、少しずつ確実に関係を築いていった若く才気あふれる男女が主人公です。それぞれ家族の事情を抱えながらも、ついに結婚することになった二人でしたが、初夜に思わぬことが起こります。結婚してからたった6時間に起こった男女のすれ違いを、彼らの過去を振り返りながら描いています。原題は「ザ・チェジル・ビーチ」(彼らが結婚式後に泊まったホテルの立っているビーチの名前)。邦題は「追想」となったようですが、初夜を迎える彼らが、度々過去を振り返るのが「追想」なのか、初夜の出来事自体を「追想」としているのかが気になるところです。

主演をつとめた、シアーシャ・ローナンとビリー・ハウルの演技は抜群でした。この二人の演技は、本国イギリスでも高く評価されています。

ただし、作品自体に関しては、イギリスでの評価はイマイチです。低い評価の殆どが、後半に付け加えられた「小説にはない部分」に関するものでした。いわゆる原作を読んだ人間が映画を批判する、典型的な批判とは違って「後半になって、突然トーンが変わってしまい、映画全体の雰囲気を台無しにしてしまっている」というもの。確かに、後半部分が無くても良かったと、私個人も感じました。この部分に関しては、日本の観客がどう受け止めるかが気になります。

BBCが全面協力の映画ということもあり、話されている英語が非常に綺麗です。発音だけでなく、彼らの教養あふれるジョークや、言葉の使い方、テンポなどは、聞いていて非常に美しく安心できるものでした。

また、シアーシャ・ローナン演じる主人公フローレンスの抱く感情に理解を示す女性も少なからずいるのではないかとも思いました。1960年代は、ある意味で若者が自由を求めた時代であり、いろいろな意味で保守的な社会を変えていく傾向にあった時代ですが、それでも「性行為は結婚後にする行為」という概念はまだ根強く存在しており、性交渉に関する知識や教育も大変限られていました。

この映画の場合は初夜に焦点を当てていますが、「当たり前の事を、当たり前と受け入れられない」こと(みんながすることを自分も同じようにしなくてはいけないプレッシャーのようなもの)への戸惑いは、21世紀となった今でも、抱く若者たちは多いのではないか、と感じました。文学的な雰囲気が優れている作品という意味で、シニア向けとも言えますが、一方で、この作品は、若い人たちの心にも届く作品なのではないかと思いました。