ものすごく良い物語なのだけれど、何か行間がごっそりと抜け落ちている気がしてならない。
構成と尺の問題なのだろうか。
愛し合っているのに「愛し合えない」辛さと哀しみ、若さ故の自尊心も重なり。
若い男女2人が始終出ずっぱりかつ長回しの場面が特徴的でもあり、まるで舞台劇を観ているよう。
3つの時代を描いていくのだけれど、老年期は『つぐない』方式で年相応の俳優に引き継いで演じてほしかった。
若い俳優がそのまま演じるとどうしても誤魔化しきれないのが瞳の輝きと姿勢の良さなので、その感動が薄れてしまう。
同じ原作者である『つぐない』を経てこのフローレンス役を演じるシアーシャ・ローナンの存在が感慨深く、お目当てのビリー・ハウルはやはり英国人らしい風貌と演技で好きにならずにいられない。
シアーシャとビリーは「The Seagull」に続く共演作でもあるので、その相性の良さも伝わってきた。
