みさりん

追想のみさりんのレビュー・感想・評価

追想(2018年製作の映画)
3.8
イアン・マキューアン原作。

ある昼下がり、歴史学者を志す大学生のエドワードの自宅に大学から成績通知が届く。最高位の“優”の結果に飛び上がる程の喜びを家族と分かち合いたいが…。

エドワードの母は不慮の事故で脳に損傷を受け生活は出来るが会話が成立しない。。双子の妹は無関心、唯一話せる父は仕事で帰宅が夜遅いらしい。。

エドワードは仕方なく1人街にくり出してビールを飲んでいると、ふと“水爆実験反対の集い”の看板が目に止まる。なんとなく入口を覗くと、そこにいたフローレスと目が合い挨拶を交わすが、エドワードは思わず自分の歴史学の成績が“優”だった事を話してしまう。

するとフローレスから“おめでとう”とはじめての祝福を受ける。エドワードは誰かにそう言って欲しかったのだ。それを切っ掛けにフローレスもまた音楽家を目指し“優”を取る音大生であることを話し、互いの将来の目標を認め引かれ合うように。

家庭環境の差はあるものの互いの家を行き来し愛を育み、やがて結婚する二人。伝統的な式を済ませ新婚初夜を過ごす為に海の見えるホテルの部屋に着いたが。。

ルームサービスの横槍や、緊張、恥じらい、戸惑い、興奮が入り交じり、頭と体と心とタイミングのあらゆる事が噛み合わず…、初めての交わりが不成立に。

部屋を飛び出してしまうフローレス。ホテルから3キロも離れた海辺でフローレスを見つけ近づくエドワード。衝動的に売り言葉に買い言葉をぶつけてお互いを傷付けてしまい、事態は思わぬ方向に。。

今から50年60年前の保守的なロンドン、エドワードが後に友人に“知人のカップルの話”として語る通り、二人は「真面目で、まだ世間知らずで、若かった」のだ。

しかし、このような男女のボタンの掛け違いは現代でもど んなカップルや夫婦でも起こりうるし、男女問わずどちらにも深い心的外傷を負わす事がある訳で、、切なく苦しい内容。
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