吉良貴之

希望の灯りの吉良貴之のレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.6
ライプツィヒ郊外の巨大スーパーマーケットで労働者たちがフォークリフトで色とりどりの商品を上げ下げしたり、社内恋愛ををしたり、死んだりする。もうその絵面だけで最高なのだ。このスーパーはかつて長距離トラックの基地だったもので、周囲をアウトバーンに囲まれている。なのでずっと車の音がうるさく鳴り響いている。トラックはどこかに向けて出発するが、やがて戻ってくる。労働者たちも同じように、家に帰ってはここに戻ってくる。外に広く開かれているように見えて、実際はここで何もかも完結しているような閉塞感がある。しかし最後、フォークリフトの音が波音のように聞こえてきたとき、大海原に浮かぶ島にいるような解放感があるように思えてくる――そこからどこかに行くことは決してないのだとしても。
吉良貴之

吉良貴之