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希望の灯りのanguishのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
3.6
In den Gängen=通路にて

So sieht Dich dor Kunde.

★淡々と日常を描いた作品、単独鑑賞向けで高揚感を求めてはいけない。大型スーパーマーケットの夜間にバックヤードで在庫管理の仕事に新人として入ってきた寡黙なクリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)音楽も時折クラシックが流れるだけで無音の空間の演出が多用され無口なクリスティアンは必要以上の会話はなく、先輩たちもその事に言及せず穏やかな眼差しで彼を迎え入れるのです。冒頭で彼が不穏な空気を醸し出していて背景や言葉などなくとも気づかせる演出は秀逸。

不器用な彼はフォークリフトを懸命に周りの支えで少しづつ体得していき仲間から信頼を勝ち取っていく過程を静かに見守っていくのを楽しむ映画ですが、テーマは此処ではない事に気づくでしょう。鏤められた伏線が回収されない事が侘寂であるかのような趣です。人生は突き詰めれば己との戦いなんです。負けとか勝ちとか、上と下とかではないんです、全ては自分次第です。

明日、立ち上がれるなら今日は思う存分泣いていいんだよ。

20220123-22(032)
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