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希望の灯りのEDENのネタバレレビュー・内容・結末

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

10/1/2022

しばらく前までは、こういう静けさや孤独に幸福や憧れがあった。

だけど、今は一種の悲しさ (だけどそれは感情的なものではなくて、淡々とした悲しさ) を感じるし、もっと切実な気持ちになる。だけれどやはりこの孤独や静けさには、どこか原点的な安らぎを感じる。

終わり方がすごい。
乗り物に乗って進む彼に、彼女が加わり、ブルーノの波の音を共に聴く。希望。
あの時聴いた波の音は、実在したのだ。

映画上の彼女のラストの登場を、ブルーノの訃報を聞いた後の表情にしてしまうのは、彼女の存在自体・またクリスティアンにとっての彼女の存在の大きさを縮小させてしまう描き方になってしまう。かと言って、2人の関係性だけで映画を終わらせたら、ブルーノの死の使われ方がぞんざいになってしまう。そういう意味で、なんともまとまっている (という言い方が正しいのかはわからないが)映画だと思う。

音楽の使われ方が、また素晴らしい。一人でいるときに聴いているようなクリアサウンドで直接観ている私に響いてくる。映画の一部として、映画世界をつくり上げる音楽というよりは、画(世界)があり、「観ている自分」があり、「聴いている自分」がある、というような。

こうやって振り返れば振り返るほど、この映画は透き通ったクリスタルみたいな、とても大切な映画だな。
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