とても詩的で美しい映画。音楽も、その使われ方も本当に素晴らしい。
細やかながらも温かく、楽しげに働く従業員たちのやり取りは微笑ましくも、その表情に横たわる空虚感がたまらなかった。
これから自分達が何処へむかうのか、何をするべきかもわからず、ただただ日々の仕事を、それでもなんとか楽しくやって過ごしているという感じ。
東西ドイツ統一後の、旧東ドイツ労働者たちの間に漂う世界から置き去りにされた様な空虚感、寂寥感は、これから私たちを待ち受ける未来を暗示しているようにも見えてしまった。
だからこそ、あのクライマックスが沁みてくる。それこそ打ち寄せる波の様に。