2018年のベルリン国際映画祭で矢田部吉彦の悲痛な叫びと共に紹介された”My Brother's Name Is Robert and He Is an Idiot”が6年の時を超えて日本で上映された。渋谷哲也によるアテネ・フランセ企画で邦題『兄弟はロベルトという名でバカ野郎』として上映された。監督のフィリップ・グレーニングは、最近『きみの声』の山田尚子監督が『大いなる沈黙へ』に影響を受けたと語ったことから再注目されているだけにナイスタイミングといえよう。恐る恐るアテネ・フランセに行き、目撃してきた。そして思い出す。フィリップ・グレーニングはタチの悪い監督だったことに。『大いなる沈黙へ』に匹敵する拷問レベルの3時間。海外の批評家的言葉を借りれば前半は「催眠的」、後半は「露悪的」な作品でった。とはいえ、退屈さと面白いショットの波状攻撃が独特なリズムを生み出し、体感時間こそは短かった。ただ、これはブーイングも納得な問題作であった。コンペじゃなくて実験映画系の部門に出品した方が良いのではと思いつつ感想を書いていく。