なっこ

コーヒーが冷めないうちにのなっこのレビュー・感想・評価

コーヒーが冷めないうちに(2018年製作の映画)
3.0
友人ふたりは学生時代に互いの実家に泊まり合うほど仲が良かった。主婦になった方の友人が、そう言えばと話してくれたエピソードを思い出しながら見た。

この特別なコーヒーは、きっと濃くて苦いのだろうなあ

「私、彼女のお母さんが食卓で豆から挽いて淹れてくれたコーヒーを初めて飲んで、感動してコーヒーミルで豆を手挽きするようになったの」、という。彼女の家に遊びに行くと必ず、人数分ゴリゴリ豆から挽いてくれていたのはそのせいか。

コーヒーをハンドドリップする一連の動作はなにか儀式めいていて見ていて楽しい。そして、喫茶店という場所は、時を経ても簡単には変わらないイメージがあって、その両方の良いところをかけ合わせた映画だと思う。

壁にかけられた写真が季節に応じて変わったりするのも良かった。

常連客のいる喫茶店は舞台装置としてとても良い場所。そこに軸となるヒロイン自身の恋物語も重なって爽やかな映画になっていた。出ている俳優さんはみんな素敵。原作未読だけど、みんな主役をはれそうな女優さんを使っているのにそれぞれに出番がちゃんとあるからか、とても良いバランスでした。脇も主役もどちらも上手な人ばかり。この喫茶店に通っていないと過去にも未来にも行けないわけだけど、どこかにこういう場所があったなら、それはやはり素敵なことだと思った。
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