ぶちょおファンク

パラレルワールド・ラブストーリーのぶちょおファンクのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

序盤★2 中盤★1.5 終盤★1.5

なぜだかクリップしていた、日本の文壇、そして映画界(TVドラマ)を支える東野圭吾さん小説の映画化。

良い点
◯予告編はとても興味を惹く。多分これでクリップしたと思われる。(笑
◯東野さんらしい“ヒト(男女)の業と悲しみ”が根底にある作品。

気になる点
●“ふたつの世界”に気づきその異変や不思議に苛まれるシーンが少ない。
●敦賀(玉森裕太)が自ら望んで“記憶の書き換え”を行うシーンを描かず須藤(田口トモロヲ)がセリフにて説明する演出は何とも雑に思える。
●敦賀及び三輪(染谷将太)が“記憶の書き換え”の決断に至る過程や心理をもっと描くべき。
ここが希薄なんで敦賀と三輪の抱く哀しみ、背負う罪の十字架に対して深く感情移入しづらい。


☆総評
東野圭吾さん作品だということである程度のクオリティーを期待し、けど映画の冒頭で“0テレ(日テレ系映画に当たりなし…)”製作だと知り嫌な予感はしたが…。

“好意を持つ女性が彼女”の世界、“好意を持つ女性が友達の彼女”の世界、この“ふたつの世界”を並行して描く物語だが、あえてそのふたつの世界の違いを明確に提示せず描く作風が混乱を生じさせているように思えてならない。

ミスリードとしては“並行世界”や“現実と仮想現実”でもなく単に“現在(過去を一部書き換えられた)と過去”を織り交ぜて描き出しただけであり、そのミスリードもタイトルに“パラレルワールド”とあるから思い込まされただけでしかなく、序盤から三輪は“脳と記憶”に関してのセリフが多かったのでそうなんだろうと大方のオチを予想できてしまったので驚きはなかった。

ひとつ気になったのは現在パートにて高架下ですれ違う“足をひきづった老人”の存在。
それはまるで“三輪の老後”のようでもあり、もしかすると“現在”は“未来”であり、若い敦賀が生きていると思っている“現在”は“仮想現実”の世界だとも思えなくもないのだが…?
しかしこれはそうとも思わせるミスリードでしかないらしい…。
仮想現実の臭わせ(作品の謎)としても良かったのでは…?!

思い起こしたのはM.ゴンドリー監督作『エターナル・サンシャイン』、これを元ネタにしたのかなぁ〜…?
っとも考えましたが、原作は90年代で映画は2000年代なんで違うし、“記憶の書き換え”はSF作家フィリップ・K.ディックもお得意とする題材でありSF系設定として昔から使われる定番ではありますね。


2021年324本目(+短編16本)