このレビューはネタバレを含みます
おじいちゃんが故郷を訪ねるロードムービーと思いきや、思い出したくなかったホロコーストの重い記憶を辿る旅。
かなり頑なな偏屈じいさんで、足が不自由なところに電車に遅れるは金は取られるは言葉はわからないわで災難続き。喧嘩別れした娘をはじめ心の広い女性たちに助けられて少しずつ心が解けていく。ホントに少しずつ。
ユダヤ人というだけで追われて亡くなった家族。父や伯父が撃たれ、妹がトラックの荷台に載せられていく。「この目で見た」という台詞に言葉が出ない。ドイツの土を踏むことも、ドイツ人と話すこともポーランドと口に出すことも拒んできたが、仕方なく乗った列車でドイツ人に囲まれ、気分が悪くなりナチスの幻影まで見る。それほどに身体に刻まれた忌まわしい記憶。
決心して訪れたかつての家で親友と再会するシーンにほとんど言葉はないが、いろんなものが溢れてきて救われた。心温まるラストでした。