KenzOasis

ライトハウスのKenzOasisのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
3.5
1890年代、絶海の孤島にある灯台で4週間、共に働くことになった2人の灯台守。ベテラン(演:ウィレム・デフォー)は新人(演:ロバート・パティンソン)を罵倒しながらコキ使い、新人は苛立ちを募らせる。たった4週間の滞在だったはずなのに、重なる不穏な出来事に2人は静かに狂わされていく……。罵倒のボキャブラリーは知的なハートマン軍曹のようでありつつ、夢か現かわからぬ幻影の描写はシャッターアイランドのよう。

実際に残された灯台守の日誌などから着想を得たという話でありつつ、ギリシャ神話を思わせるセリフや描写、光への執着などから「灯台」がさまざまなメタファーになっているのは明らかだと思う。

それゆえに極めて示唆的かつ難解なところがあるけど、まあそんなことは置いておいて、ズーンと響き続ける重低音とともに、常に不穏な気配ばかりが映像に漂う雰囲気づくりが良かった。

あと個人的には構図が芸術的でめちゃくちゃ好きだった。他のことはいいや。
最初の船をしまうシーンとか、螺旋階段を見上げる、見下ろす構図とか、土管みたいなのを新人が掃除するシーンとか、いちいちカッコいいよね。

最初はキュアロン監督の「ローマ」を思い出すような静かで機械的だったカメラワークが、いよいよ2人が狂ってきたあたりから急に動物的というのか、結構動き回るように変化するところも芸が細かい。
明確な登場人物としてはたったの2人なので、ウィレム・デフォーとロバート・パティンソンの演技がほぼ全てなわけだけど、これがバキバキにキマっている。
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