イタリアの巨匠ジャンニ・アメリオ監督の『家の鍵』に感動したので、続けてもう1本です。
数年前に妻を亡くし、広いアパートに1人寂しく暮らす元弁護士のロレンツォは、娘と息子との関係が上手くいっていない。
そんな時、向かいの家に越してきた若い夫婦ファビオとミケーラと2人の子供たちと親しくなり、まるで親子、祖父と孫のような疑似家族と思える関係になっていく...
ある日、ファビオの精神的な問題からとんでもない事件が起きてしまう。
ロレンツォの人柄は悪くないのだが、不正な裁判を多く担当したため、悪名高き弁護士と言われて警察からも名が知られていた。そして、過去に不倫をしていて娘エレナにしたら、母親はその心労で亡くなったも同然と思っていた。決して家庭的な男ではなかった。
ロレンツォは向かいの家族に救急車騒ぎが起き、意識不明の重体で運ばれたミケーラの元に駆けつける。病院にはミケーラの父親のふりをして緊急病棟に入り込み、ミケーラの側でずっと語りかける。
事件のことを聞いて病院を訪れた娘エレナと息子は、赤の他人に付き添う父親の行動を理解に苦しむが...ミケーラの死後、ロレンツォは姿を眩ましてしまう。
シングルマザーで1人息子を育てているエレナは、必死にロレンツォを探し出すが...
親子の冷え切った関係、他人との心の繋がり、言葉に出来ない感情、それでもエレナは父親を受け入れる気持ちに変化が起きる。
親子関係はその数だけそれぞれの形があるだろう。外面と内面もあるだろうし、心で思っても血が繋がっていることで、どこか分かり合えるものと甘えがあるのか、言葉や態度に出さずに関係が冷え切ってしまうことってある。
かなりややこしかったが、ラストは父娘で温かい血が通うシーンで終わるのでほっとした。