桃のネクター

シシリアン・ゴースト・ストーリーの桃のネクターのレビュー・感想・評価

4.3
冒頭の場面から甘酸っぱいボーイミーツガールの話なのかなと思っていたら想像以上に重く、悲しい話だった。少年を待ち受ける現実の残酷さに愕然としたし、あまりにも悲しいので観た後暫く引きずる人もいると思う。むごい描写を極力控えて幻想的に美しく描くことでひとりの少女の初恋を詩的に描いている。多感な時期、こんな風に好きな男の子が突然消えてしまったら一生引きずると思うし絶対に忘れられないよ。お互いを見えない部分で手探りで求めあうそのピュアな恋を、お互いのことを守ろうとしたり大切に思ったりする気持ちを愛以外に何とよぶのだろう。実体のない相手をただひたすらに暗闇の中で探り続けるピュアが美しくて、切なくって、涙が止まらなかった。絶望のふちに立たされたジュゼッペというひとりの少年ににとって、ルナの強い気持ちが記された手紙はきっと最後の淡い光で希望だった。好きな女の子に生き延びてほしいと願う気持ちがルナを救って、守ってくれた、と思うとジュゼッペは今後どんなかたちであれルナを見守り続けるのかななんて思った。会いたくて触りたくて抱きしめたくてキスをしたくてといったお互いを求める純粋な気持ちが狂おしいほどに伝わってくる。