きりとし

シシリアン・ゴースト・ストーリーのきりとしのレビュー・感想・評価

5.0
「シシリアン・ゴースト・ストーリー」
実際に起きた誘拐事件を基にした少年少女の愛情が現実と夢の中を交錯する幻想的なお話。
マフィアの報復を恐れて周囲がジュゼッペの誘拐に見て見ぬ振りをする中、ルナだけがどんなになっても頑なにジュゼッペを想い続け、求め続け、痛ましいほどのその痛烈な愛情が現実を超えたifの夢の中を漂っていく流れに胸が張り裂けそうになる。
今年の映画締めがこれで良かった。

所々出てくる洞窟や馬をかなりの近い視点から嘗めるように撮る描写とか、森や池を定点の広角カメラで奥行き深く捉える感じとか、フクロウが「死」を司るメタファーとして効果的に使われてるとか、ルナのアーティスティックな一面とか、何もかもがこの物語の幻想的な雰囲気を綺麗に構成していて本当に本当に良き。

今年下半期の“ゴーストストーリー系”の2本(ア・ゴースト・ストーリーとシシリアン・ゴースト・ストーリー)、形は違えど、どちらも「手紙」のパートで泣けてきてしまうし、どちらも本当に傑作だと思うし大好きすぎるんだが。
きりとし

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