GubGub

シシリアン・ゴースト・ストーリーのGubGubのレビュー・感想・評価

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冒頭からただのラブストーリーではないことがひしひしと伝わってくる映画。

じとっと湿った岩肌のようなもの。
水を飲む少年を水中から捉えたカット
はじまりは秋のシチリアで
自然は湿り気を帯び、木立には霧が漂う。
空はカラッとしているのに地上は立ち昇るようなしとりで満ちている。
動物もたくさん出てきて
霊的なエネルギーを繊細に表現しているように思えた。

少年に恋した少女の心に合わせて
映画の中の現実は変容する。

葉擦れの音は本来のそれとは違う音楽を鳴らし、極度の広角レンズで捉えた美しいカットは人間の視界を超えている。

暗闇が深くて暗い画面をじっと見つめる。

物語は次第に少女の妄想と現実が織り合い、両者の区別は限りなくあいまいになっていく。
ただ序盤から詩的な表現が貫かれているので、混乱することもなく、ただそういうものだと受け止めて観ることができた。

元になったシチリアでの事件については知らないまま観賞した。
ラストにでてくる献辞でそれを知り、
これはすごい映画だなと思った。

この映画を作った人たちのように
過去は救えると信じたい。