砂

PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」の砂のレビュー・感想・評価

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すっかり長寿コンテストとなったサイコパス。
物語世界の背景が深化し、キャラクターのエピソードが独立しても成立する段階に達した。

なので、3作を連続上映するという、普段ならあまり良いとは思わない興行手法もそれぞれのカラーが分かれており良い意味で期待感を煽る。約1時間という短い尺で、各テーマへどのようにアプローチするか期待である。


一作目となる本作は作品世界を更に極少化した青森の施設が舞台となる。
相変わらず公安は人手不足が深刻である。

起承転結が明確であり、観賞後は「普通に面白かった」という感想だった。
だが、なにか引っ掛かりがある。テレビスペシャルを観た後の気分が近い。
短尺のために基本導線やギミックを極力シンプルにした結果、面白いのだが反芻するほどの深みはなく消化不良感が残る。
展開が性急で、物語の規模に対して見合っているかは怪しいところ。進行はやや力技である。

シリーズの舞台はほぼ東京一択であり、地方の描写は掘り下げれば面白くなりそうだ。
青森がなんかとんでもないことになっていたが、物語の装置としての機能が省かれていたのは惜しかった。


ともあれ、キャラクターの核を残した上で成長や変化を丁寧に描いていた点は素晴らしかった。ファンサービス精神も旺盛だ。
キャラクターありきのシリーズではあるが、こういう点がウケてる理由であるだろう。

なんだかんだ不満点もあるのだが、ファンとしてはちゃんと作られた新作が観られるだけで満足なのである。
OP、EDのリミックスもとても良かった。

次作にも期待である。
砂