Kay

PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」のKayのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

一時間だけであれほどのストーリーの充実度・緊迫度を演出できるのはさすがと言わざるを得ない。一時間ずっと集中しっぱなしで見入ってしまった。
 
 復讐劇という一本の軸を持ちながらも、それを須郷執行官と公安局との関係性のなかで描いていた。須郷と大友をはじめとする一部隊は、国防組織内の上下関係という大きな足かせをもつ中で図らずとも捨て駒として使われ、大友は作戦で命を落とす。使命感を胸の内に秘め「駒」としての役割を果たしていく覚悟をしつつも、その不条理さが色相を黒く染めていくことに動揺を隠せない須郷。そんな状況において国防相にテロ事件が発生し、大友逸樹の姿が防犯カメラに映り込む。その正体は、大友逸樹が事前に組織の不条理を察知し、網として張っていた自身の模擬知能であった。その作成と復習の計画には妻の大友燐も大きく関わっていることが判明し、公安局と国防相という組織間の権益闘争をも巻き込みながら、物語は復讐というクライマックスを迎える。結果そこに何か生まれたわけではない。なんなら誰も皆何かを失った。そこに残るのはそこに参加できなかった須郷の苦しみとそれでも進み続ける社会である。
 
 もう少し時間があれば、公安局と国防軍の組織的な対立やいざこざ、その関係性を描けていたのではないかとも思うが、サイド・ストーリーにしてかつ一時間の映画にそこまでは求めれない。
 
 須郷執行官の本編に至るまでの背景や、1係の設定引き継ぎかつ、青柳監視官・縢執行官をも登場させたのは一貫性の担保もさながらファンへの配慮であるとも思われる。大変ありがたい限りである。
総じて大変満足な完成度で第三作への期待が高まる限りである。
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