場末のストリップ劇場に従事している踊り子が、ルポライターの取材を受けながら、肉欲と愛欲が蠢く、非日常的な日常を綴っていく。ストリップ小屋の虚実に迫っている、日活ロマンポルノ。藤本義一原作。

ストリップ一座を運命共同体としながら、その一蓮托生を生々しく描写していく。出涸らしのモチーフだが、普通の生活では接することのない、未知なるエロ世界を開示してくれるため、探究心が刺激される。

役者陣は、ストリップ小屋の支配人役に高橋明、踊り子の実世界に触れる青年役に中西良太、ルポライター役に丹古母鬼馬二、踊り子役に山口美也子、宮下順子、橘雪子など。特殊な職業に就いている人間たちの種々相を、見事なまでに表現している。

「無意識的に男を狂わせてしまう女」と「女の妖力に狂わされてしまう男」の情念のドラマ。ダウナーな雰囲気に寄せすぎの感があるけれども、やるせなさと切なさを残しつつ、女性の自立へと着地させるロジックが鮮やかに決まっている。

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いきなりストリップシーンがマジかっこよすぎる山口美也子。ムショから出たてのヒモに左腕をガラスで刺され、傷跡を隠すために泣きながら風呂場でセルフ入れ墨する場面、その後のショウで若い子舞台にあげて本場やっちゃうところ、なんかものすごい泣ける。そこでかかってるへんなマッシュアップな曲もすごくいい（チャッキリ節とかピンクレディとかをオリジナルでアレンジしてるやつ）。ルポライターの鬼馬ニを相手に生い立ちを語り、酔った勢いでジュークボックスの上でストリップダンス（客はもちろん鬼馬ニひとり）素晴らしい。山口美也子は声もいいから語りもとても雰囲気ある。もうひとりの若いヒモの中西良太の借金のカタにヤクザにレイプ。散々な目にあった後の宮順とのショウはさらにかっこよくて感動。ふたりすごい。そして宮順の役名は"まん子姐さん"みんなが呼びまくっていたのでわたしも呼びたくなった。

東映実録ものテイストでゴリゴリに骨太なドラマを撮りきる西村昭五郎。セックスという行為をただ暗く、負の感情の発露として描く。父親に犯され逃げ出してストリップ小屋で働く山口美也子。だからといって、その悲痛な過去をシリアスに捉えているわけでもなく、なんとなくここに来てしまって、面倒くさいからヘラヘラしている。バクシーシ山下とかのAVに出ていた考えることを諦めてしまった女優に近い生々しさ。女性を逃がさないようにチンピラが色管理しているリアルさも良い。男と女を繋ぐ肉体の根幹にある暴力とセックス、その果てにあるのはやりきれない死。世界中すべてのジャンルをロマンポルノで網羅している西村昭五郎、そのなかでも5本選べと言われたなら本作がマスト。傑作。