このポスターはカーク・ダグラスが弟役のアレックス・コードにぶちゅ～！っとしてるやつで、それで思い出さずにいられないのが『ゴッドファーザー2』（74）のぶちゅ～！なんだが、あるいは弟をマフィア仲間に加えて困るという内容からコッポラは本作を参考にしたのではないか、と邪推してる。リー・ストラスバーグの娘スーザンも出ているし。脚本を書いたのはルイス・ジョン・カリーノで、この人物は『セコンド』（66）で映画界入りしたということからも分かるが、ちょっと変わったキャリアで記憶したい。『メカニック』（72）や『マンハッタン皆殺し作品』（74）などのユニークなアクション映画で頭角を現すと、監督デビューを果たしたのは三島由紀夫の『午後の曳航』（76）だった。ちなみに昨日書いた『女狐』（67）もカリーノの手による。

ポケットに拳銃をしまう手元をうつしたショットに「カーク・ダグラス」の名前をかぶせるクレジットのかっこよさにしびれた。ダグラス本人がプロデューサーを務めてるだけあってタイトルクレジットよりも自分の名前を先に出すのは当然か。原題通り「The Brotherhood」な内容だが、もう少しドライで突き放した演出をして欲しかった。グレイでリメイク希望。兄弟が対峙するラストシーンは背景の揺れる木々を含めて緊張感の高まりがとつぜん頂点に達する至福の時間が流れる。このラストシーンをみれただけでも大満足。とはいえキスはポスターのように撮ってほしかった。なぜアレのカットを採用しなかったのか……。

撮影ボリス・カウフマン、最後の作品。異なるマフィア組織に属する兄弟の流血の抗争。日本のやくざ映画みたいだが、マーティン・リットだから派手なアクション映画ではない。ここでも『寒い国から帰ったスパイ』『質屋』の寒々とした感触。製作カーク・ダグラス。