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セラヴィ!のmaverickのレビュー・感想・評価

セラヴィ!(2017年製作の映画)
3.9
2017年のフランス映画。
古城で開かれた結婚式を舞台に、ベテランウェディングプランナーを中心としたスタッフ達にスポットを当て、それぞれの人間模様を群像劇風に面白おかしく描くユーモアたっぷりの人間ドラマ。


主人公マックスはこの道30年のベテランウェディングプランナーだが、今回を最後に引退することを決めている。17世紀に建てられた由緒正しいお城での豪華な結婚式は幕引きには最高の舞台だと思われた。だが新郎は融通の利かない嫌味なやつでそれだけでも頭が痛いのに、この日に限ってスタッフを中心としてトラブルが続出する。仕事の出来る冷静沈着のボスであるマックスの堪忍袋も限界。彼はこの結婚式を無事に乗り切ることが出来るのか。

結婚式はどの国においても一大イベントなんだなと思わせる。人生の晴れ舞台を迎える新郎新婦のため、それを支えるスタッフ達の仕事ぶりには頭が下がる。だがこのスタッフ達の体たらくは酷い。新郎は確かに嫌味なやつなのだが、彼が怒る理由もよく分かる。計画に沿って進行しておらず、それに対して文句を言うのは当たり前。スタッフ達は毎度の仕事で気持ちが慣れてしまっているが、新郎新婦とその家族にとっては忘れられない人生の記念日なのだから。ボスであるマックスは意識の低いスタッフたちを激しく叱責するが、そんな彼も知らず知らずに仕事に慣れてしまっているところがある。

本作はそれを面白おかしく描くコメディではあるが、途中から笑えなくなってくる。そこからの締めだ。人生は計画通りには進まない。それでも何とかなるもんだというのを表現している。トラブルがあってもそれに柔軟に対処する。楽しんだもん勝ちだ。

フランスらしいお国柄が出ている。恋に奔放だったり、仕事に対してルーズだったり。それがドン引きする要因でもあるんだけど、ルールに沿って楽しめてないより、少しくらいルーズでも楽しく人生を謳歌してる方が良いのかなと。本作がハッピーエンドで終わるように、どんなにきっちり生きても人生の最後が惨めでは空しいと思う。真面目に窮屈に生きている人にこそ観てもらいたい作品だ。

フランスらしいお洒落な作品でもある。そこにフランス調のユーモラスを盛り込んである。フランス語って美しい響きでやっぱり素敵だな。俳優も格式高いオーラを放つ魅力的なキャストばかりだった。 ジャン=ピエール・バクリ、 ジャン=ポール・ルーヴ、ジル・ルルーシュなど。ヴァンサン・マケーニュ、アルバン・イヴァノフの給仕係もユーモラスで笑いを誘う。フランス人は禿のおっさんでも、何であんなにフェロモン出まくりでセクシーなのか。あとグザヴィエ・ドランの作品に出演の多いスザンヌ・クレマンが、大人の女性って感じで目を引いたなぁ。全体的にお洒落な雰囲気で素敵な作品だった。


ラストが良かった。終わりよければって感じでなあなあにされてる気もするけど、結局みんなハッピーなんだから良いよね。『君の瞳に恋してる』に乗せてノリノリのエンディングが最高。人生楽しんだもん勝ち。映画もそうだと思う。楽しんだもん勝ちです。
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