三樹夫

ピラニアの三樹夫のレビュー・感想・評価

ピラニア(1978年製作の映画)
3.3
『ジョーズ』の大ヒットにより雨後の筍のごとく作られたジョーズ模倣映画の一本かつ、ジョーズ模倣映画の中で一番いいのはこれというスピルバーグ先生のお墨付き。
『ジョーズ』大ヒットにより開いたサメ映画は分類分けが可能で、正統派のサメ映画(『ロスト・バケーション』)、奇想系サメ映画(サメが竜巻で降ってくる『シャークネード』)、サメ映画の変奏曲(サメを別のモンスターに変換するタイプの映画。例:サメを地中を這うミミズのバケモノにした『トレマーズ』)とあり、この映画はサメをピラニアにした変奏曲型だが、サスペンス演出が『ジョーズ』のやり方をきっちり踏襲しており、スピルバーグ先生が一番の出来というのも分かる。そういえば同じ変奏曲型の『トレマーズ』も人間とモンスターとの知恵比べをきっちりやっていた。
冒頭、カップルがプールで泳ぎピラニアに襲われ死ぬ。プールのピラニアが川に流れ込み、何も知らず川で泳ぐ人たち+ピラニア視点の映像で、観ている者にピラニアに襲われるかもしれないというサスペンスが生じている。

『ジョーズ』の大ヒットにより、ユニバーサルみたいな大手がこういうジャンルの映画を作ったらうちは商売あがったりだと嘆いたロジャー・コーマンだったが、さすが10セントも損をしなかった男、きっちり亜流映画を製作する興行師っぷりには頭が下がる。この映画の企画を持ち込んだのはチャコ・ヴァン・リューウェンこと筑波久子だったが、シナリオがゴミだったので書き直されたとのことだが、書き直されてこれかよというアバウトな出来となっている。被害の原因は完全にメイン2人のせいだし。勝手にプールの水抜くなよ。博士も襲い掛かる前に放流を止めろよコミュ障かよと、かなり荒い一連の流れで殺人兵器ピラニアが大量に川に流出。100%メイン2人のせいだが何一つ悪びれることなく、俺も会社でミスしてもこうありたいわ。あまりの堂々としっぷりにアメリカではやらかしてもこれが普通なのかと思ったが、作中、博士がお前らが栓抜いたせいだろと言っていたので、この映画の惨劇は完全にメイン2人のせい。

ロブ・ボッティン、フィル・ティペットなどスタッフが参加しており、監督はジョー・ダンテ、次回作の監督は監督デビュー作かつ黒歴史のジェームズ・キャメロン、3作目監督はフランスの変態アレクサンドル・アジャと、何気に有名スタッフが集まるシリーズになっている。嫌な泳ぎの先公の写真にダーツ投げるところなどにジョー・ダンテっぽさが表れている。軍は信用ならん。つーかピラニアを兵器にするってどんな軍事作戦。
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