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ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~のkrhのレビュー・感想・評価

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家族をはじめ、元恋人や元夫のボビーブラウン、近しいスタッフや彼女の最期を見つけた人に至るまでのインタビューやプライベートビデオ、テレビ映像等を通じて、ホイットニーの人生を、そして彼女に棲まう「悪魔」について詳らかにしていく。
しかし、愛情こそあれ皆自分に痛いことは話さないし(そういう姿勢が彼女を苦しめた一端だなと思う)、かなりの映像演出が施された編集・構成に制作側の意図を強く感じるので、内容をそのまま事実として受け入れるには躊躇がある。

それでも充分わかることは、彼女にとって最大の幸福と最大の不幸がどちらも彼女自身の中にあったということ。教会で歌って満足するだけに終わる才能では全くなかったけれど、大スターで居られるような器でもなかった。周囲の人に恵まれなかったことは事実だし、育ちや環境には同情を覚えるものの、結局のところ、あの人生を彼女自身が選んで進んでしまった。

だからと言って、天賦としか言いようのない歌声、特に全盛期の輝きは逆立ちしたって否定できない。あの国歌は日本人の私でも震えてしまった。そして変わらない可愛らしい笑顔。ビューティフルガール。だからこそ彼女がだんだんと輝きを失う姿があまりにもかわいそうで…。「悪魔は私よ」の言葉と、最後のツアーの歌声に、本当に悲しくなってしまった。


(フリーパス)
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