たも

劇場版総集編 後編 メイドインアビス 放浪する黄昏のたものレビュー・感想・評価

5.0
 史上最も泣ける作品ランキングを作るとすれば上位入賞間違いなし。それくらい涙を誘うストーリーが今作最大の魅力。ゴミ箱がティッシュで山盛りになること間違いなし。目と鼻が痛い。

 前作の第1部がウォーミングアップだったとしたら今作はいきなり右ストレートをぶち込んでくるスタイル。軽いジャブやらステップで牽制とか一切ない。ワンパンK.O.
 メイドインアビスという、いかめしいタイトルに負けない、キツく険しいストーリーに思わず目を背けたくなる人は多いはず。冥土の深淵。
 可愛らしいデフォルメの効いたキャラや獣耳のもふもふ作画とは裏腹に、巻き起こる出来事はこれこそダークファンタジーの醍醐味と言わんばかりのエグすぎる残忍残虐の数々。苦手な人はこの作画とエグさの2点で篩にかけられる可能性があるけど、出来れば全人類に見てほしいくらい面白かった。

 ※以下ネタバレ※

 初めて見たのはもう5、6年前だと思うけど、それでもナナチのことは忘れられないほど記憶に残ってた。ミーティの身に起こる出来事も脳裏に焼き付いていた。
 エレベーターのようなカプセルの中でナナチが聞いたミーティの最後のセリフは「お願い、殺して」だった。一瞬前までは「耐えるから大丈夫」とナナチを気遣って励ましていた、健気な少女の吐くセリフとは思えない。殺してほしいと願うほど全身の穴という穴から血を流して苦しみ悶えて、人間性を失った異形へと姿を変える。
 ミーティのあのアメーバみたいな形状がまた同情を誘う姿形をしてるんだよなあ。作者さんは本当に天才だと思う。今回はミーティが登場しただけで涙が止まらんくなった。視聴中1時間以上ほぼ泣いてたと思う。
「将来の白笛だよ」と冒険心と野心を目に灯した少女が受けて良い仕打ちじゃない。
 
 ナナチはそんなエグい状況を目の当たりにして正気を保ってるのがそもそも賞賛に値する。何度も実験して痛めつけられるミーティを見たら、オレならボンボルドをどうやって苦しめるか想像せずにはいられない。憎くて堪らないと思う。唯一ミーティに心が残っていないのだけは救いだったけど。
 無事に逃げ出せた後は何年一緒に過ごしてきたんだろう。ミーティも可哀想だけどそれ以上にナナチのメンタルを気にせずにはいられない。
 レグがミーティを殺すことを引き受けたあと、ナナチに「死なないで」と釘を刺すが「残酷だな」と溢していた。ミーティと一緒に心中することを望むのは凄く自然な流れに思えるし、それを止めるレグのファインプレー。本当に感動する。
 ミーティが亡くなることが出来た時のナナチの「私の宝物が」と一心不乱に声を上げて泣いてるところを見て、今後何回このシーンを見ても泣かずにいられないと思う。殺せてよかったし、お別れは寂しいし、それ以上に居なくなってしまって悲しい。可哀想すぎる;;

 ボンボルドに怒りを抱かずにはいられない。「ミーティおめでとう」ってお前この野郎、マジで許せねえ。この外道にどんな天誅が降るのか、リコ、レグ、ナナチ3人の旅の始まり。どんな物語が紡がれるんだろう。
 当時見た時この続きが見れないことに酷く絶望したのを良く覚えてる。こんなに面白い作品の続きが見れないなんて、一緒にシャワー浴びて同じベッドで見つめ合って寝るだけみたいな生殺し感だった。それが今、なんと、続きが致せる。これはもはやSEXと言っても過言じゃない。絶対に過言だけど。
 リコが何度も失禁して血尿まで流してるけど完全に作者さんの性癖だと思ってる。多分加虐癖もある。危うくこちらも歪めるところだった。
 おれは今夜2期を致すぞJOJO。自分にギャグセンスが無いのにルンルンでジョークを連発したくなるくらい続きを見れることにテンションが上がってる。早く続きが見たい。
たも

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