高卒派遣社員

止められるか、俺たちをの高卒派遣社員のネタバレレビュー・内容・結末

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1969年に若松プロへ加わった吉積めぐみの視点から当時を描く。男臭い現場に飛び込んだものの、”女を捨てて”奮闘する彼女の姿がとにかく辛い。撮影現場で認められないのは致し方ないとしても、大島渚と若松プロの酒の席でひたすら水割りを作るシーンは生々しかった。脱落していく仲間を尻目に必然的に脚本や監督を務めるようになる。彼女でなければならなかったわけではなく、彼女しかいなかったと言わざるを得ない。そして最終的に女ゆえに迎えてしまう悲劇。せめて生きていてくれれば…

実在の人物をモデルにしているゆえに虚実の線引を見極めるのが非常に難しい。とはいえそれは観客のリテラシーに委ねられていることであり、作り手の問題ではないだろう。60年代から70年代に差し掛かる東京の雰囲気を再現するのに相当の苦労があったはず。「さすがにこの景色は昭和には見えない」と感じたシーンもあったがベストを尽くしていると思う。個人的には殴り合いに発展した飲みの席で、山下洋輔のピアノと思われるフリージャズが印象的だった。そして脇役ながらも藤原季節の圧倒的な存在感が素晴らしかった。
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