たむ

人間の時間のたむのレビュー・感想・評価

人間の時間(2018年製作の映画)
3.5
近年のキム・ギドク監督作品は登場人物がよくしゃべるようになってきてしまったので、主張がさらに言葉でも迫ってきます。
特に前半は台詞がうまいわけではないので、なかなか苦しいところはあります。
しかし、この監督が容赦なく、残酷に描き出した世界観に、世界はゆっくりと、確実に入り込んでいるような印象すら受ける作品でもあります。
男尊女卑も、格差も、あらゆる表現が極端なキム・ギドク監督ですが、描こうとしている根底のテーマが、コロナウィルスを先取り、意見しているような作品です。
極端過ぎるので、それを否定することも出来ますが、韓国映画史上の鬼才がたどり着いた表現として、極論として、受け入れなければならないひとつの答え。
船という初期からのモチーフを活用し、クライマックスでは、原点回帰していきます。
キム・ギドク監督初心者の方には絶対にすすめませんが、今まで観てきた観客は直視せざるを得ない映画です。
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