ぜろ

騙し絵の牙のぜろのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
-
「映画化するにあたり諸々再構成して、結果当初当て書きした「大泉洋」っぽさは大幅に削られた」とWikipediaで見かけたんだけど、いやそんなことないと思う。良い「大泉洋」解釈でした。「大泉洋」的キャラクターの極端な拡張として、朝ドラの『まれ』とか『グッモーエビアン!』みたいな役(人を振り回す人)がある一方で、『ハケンの品格』とか『真田丸』みたいなそれを逆手に取ったような真面目なキャラクター(人に振り回される人)がある、というイメージがある。本作のアプローチは「人の良い変わり者の見た目をした切れ者」「腹に一物を抱えている」、『清洲会議』の秀吉とか『アフタースクール』の中学校の先生とかに近いところにいるなと思った。
松岡茉優が本当に最高だった 妙な図太さで画面に居座っている感じがすごくよい。好き。そのままずっと居座っていて欲しい。

吉田大八の映画は堺雅人の『クヒオ大佐』がわりと好きな邦画で、これも結婚詐欺師の話なので「人を騙す」というテーマで本作と繋がっている。予告編ではもっと壮絶などんでん返しがあるような演出だったけど、でもそういえば『クヒオ大佐』もちょっと控えめなトーンだったなと思い出した。「騙し」がテーマではあるけど、決して「騙しを生業にする人」をヒーローのようにかっこよくはしないというか。
ぜろ

ぜろ