久々の吉田大八映画。
出版業界の映画は新鮮。
松岡茉優目当てでしたが、割と楽しかったし、いろいろと(良い意味で)引っかかりのある作品でした。
物語の発端となる社長急逝がとにかく不穏。冒頭で高野恵、社長、犬のショットがカットバックされますが、物語の顛末を知っているとこのシーンがとても恐ろしくみえる。あれだとどう見ても高野が最初からすべてをコントロールしているかのように見えしまって、なんて恐ろしいサイコ女なんだ！などと、根も葉もない見方をしてしまう癖を改めなければ…
ただこのシーンはずっと尾を引いてて、社長の死に際を見せないどころか急逝とだけ報道されて事故死なのか他殺なのかすら分からない。一見同じ時空間にいるはずの社長と犬ですが、両者のツーショットの映像がなく、そもそもあの犬が社長の犬なのかどうかすら怪しくしています。ここは原作にもある場面なのだろうか。…映画オリジナルの演出であってほしいな。。だとしたら観る者を本気で騙しにかかっているような素晴らしい仕掛けだと思います。
大泉洋はじめ佐藤浩市、佐野史郎、國村隼とベテラン役者陣の余裕のある演技合戦はさすが。激烈に胡散臭い國村隼が最高でしたが、後半の方になると急に姿を見せなくなるのが惜しいところ。。最初の方で急に歌い出したときは笑った。
塚本晋也のお父ちゃんも良い味出してました。『野火』つながりで森優作が出てたのもなんか嬉しかった。だいぶ膨よかになられてましたが。。
やっぱり松岡茉優は群を抜いて上手かった。細かい表情の変化が相変わらず上手くてあれぞ職人芸。｢神座さーーーん！｣と絶叫しながら飛行場を駆け抜ける姿を今思い出すと、やっぱりこの女ヤバい！
