しゅんまつもと

バーニング 劇場版のしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
4.2
火はなにかを燃やし尽くす凶器になる。反面、なにかを祈るときに人は火を灯したり、また夜空に火を打ち上げたりする。

なにかを芸術として昇華するのは、映画の特性の一つだと思う。
目も当てられない現実を、想像とメタファーで作り物の世界として作り直す。現実では出来ないことをやってのけられる。ないものをあるようにできる。または、なくなってしまったものの痕跡をいつまでも残し続けられる。
ジョンスが最後にしたことはそういうことだと自分は思った。ヘミのいない部屋でマスターベーションしかしてこなかった彼が、止まっていた物語を自分で創り上げようとする。その物語こそあのラストなんじゃないだろうか。怒りも妬みも格差も過去も全て燃やし尽くしてしまえと。

光と影のちょうど狭間、現実と虚構のちょうど狭間の瞬間を捉えたマジックアワーのなかヘミが踊るシーンは映画史に残る名場面だと思った。