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ビリーブ 未来への大逆転のchamのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
4.2
つい先日87歳で亡くなったアメリカ最高裁の現役判事ルース・ベイダー・ギンズバーグさん。
去年観たドキュメンタリー映画「RBG 最強の85才」では彼女の歩んできた半生や、病気を乗り越え80過ぎてもタフで賢く冷静に物事を判断しながら現役で活躍するにとても感銘を受けたけど、この映画はRBGさんの若き日、弁護士となるまでの彼女自身が受けた性差別、それを乗り越え社会にジェンダー問題に切り込んでいく第一歩を描いている。

彼女が女性差別問題の第一歩として切り込んだのは女性差別と同時に潜む男性差別問題。人々を守ってるようで男性女性それぞれに縛りつける法の盲点。法の下の平等は女性だけでなく男性をも救っていくためのものでもある。

女優さんの中でもどちらかというと小柄なフェリシティ・ジョーンズが逆境に強く立ち向かうRBG氏を、大柄でたくましいアーミー・ハマーがそんな妻を支え共に歩んでいく税法専門の弁護士の夫を演じていてとても素敵なコンビネーション。アーミー・ハマーがあまりに理想の夫すぎるけど、「RBG 最強の85才」でも彼女のかけがえのないパートナーとして描かれていましたよね。この夫婦だからこそ成し遂げた功績というか、ジェンダー問題は女性だけでなく男性の力もいかに大切かというのを実感する。そして彼女の娘の存在。若者が声をあげる姿は本当に頼もしく人の心を動かしていく。

早くに亡くなった母親からの「すべてのことに疑問を持ちなさい」という教え。今当たり前になっているさまざまな権利が当たり前じゃなかった時代。誰も疑問を持たないということがいかに恐ろしいことだったのか、それは今の時代にも言えることだと思う。
アメリカの大統領選も荒れに荒れていて、アメリカだけでなく世界がこれからがますますどうなっていくか不安になってしまうけど、彼女が切り開いてくれた未来を大切に、この精神はどんな時代においても受け継がれるものであってほしい。
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