しろくま

ジュディ 虹の彼方にのしろくまのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
4.0
2022.11.01/235/図書館DVD
〝普通の生活に惹かれるのも分かる。普通に生きたいなら私は止めない。あのゲートから出ていけ。普通の世界が瞬く間に君を飲み込み消し去る。誰も君を気に留めない〟

あのとき、普通の人生を選択していれば、〝オズの魔法使い〟のドロシー役として脚光を浴びることも、その後のスターへの道を歩むこともなかったかもしれないが、同時に、減量を強いられ不眠になることも、生活に困窮することも神経症を患い苦しむこともなかったに違いない。

〝君の誰にも負けないその声が、君をオズに連れていく〟という誘い文句に惹かれ、女優の道を歩んだジュディ・ガーランドの栄光と挫折、波乱万丈の人生を描く本作。レネー・ゼルウィガーの迫真の演技と魂の歌声は素晴らしく、晩年のジュディ・ガーランドが甦ったようなアカデミー賞主演女優賞にふさわしい作品に仕上がっていた。

あまりにも気持ちの浮き沈みが激しく、スタンディングオベーションの賛辞を受けることもあれば、物を投げつけられることもあり、プロとしてはどうなのって感じだが、それも含めて彼女の生きざま。最後のMCの〝ゴールに到達することが全てではない。夢に向かって歩いていくことが大切なの。希望を抱いて、人生の道をコツコツ歩いていれば、それで十分だと思うの。希望は必要よ。どんな人にでも〟は〝オズの魔法使い〟から学んだ人生訓。そしてラストシーンの〝虹の彼方に〟の歌声が心に沁みる圧巻のステージパフォーマンス。
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