アむーレ

ジュディ 虹の彼方にのアむーレのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.6
1922年生まれ、1969年にわずか47歳で生涯を閉じた女優・歌手のジュディ・ガーランドを題材にした伝記映画。
----------
オズの魔法使いで主役ドロシーを演じスターダムを駆け上がっていった人気女優。しかしその生活は過酷なもので、眠れなければ睡眠薬、食事もろくにさせてもらえず痩せ薬を常用するなど、無理な管理をさせられたジュディは心も体も不安定となってしまっていた。
その結果、遅刻癖や撮影の放棄などにより解雇されてしまったジュディは滞在していたホテルも宿泊費の滞納で追い出されてしまう。
借金もあったジュディは2人の子供を養うためにロンドンでショーの仕事を受けることになる。しかし、そこでも度重なる遅刻や酒浸り、客とのトラブルを抱え解雇されてしまい…
----------

いやぁ、もとはといえば子役時代の大人の対応がクソすぎた結果、社会性の乏しい堕落した人間となってしまったジュディが、とことん落ちていく切ないストーリー。
ロンドン公演を去ったあと約半年後に亡くなったそうだけど、実際のところ睡眠薬の過剰摂取による自殺も疑われたそうで、とても悲しくなった。

でもジュディはなぜこの仕事を続けたのだろう。そこまで辛く嫌なら一般人に戻る決断もできたのではと思うけど、それすら許されないほどの圧力があって苦しんだのかな。
それでも歌を歌っているときのジュディは普段のクソみたいな性格から一変して輝いてるように映っていた。歌を歌うこと、それをお客さんに披露し拍手を浴びることはきっと好きで、その時間が苦しんでいたジュディのひとときの救いだったのかもしれない。

ロンドンの最後のステージで、ある日ジュディに誘われ一緒にスクランブルエッグを食べたあの2人のファンに助けられ、涙して止まってしまった歌をお客さんに繋いでもらったあのシーンは素敵だなと感じました。
客に愛されることがジュディにとっての救いという点を分かりやすく表現した唯一のシーンでした。

しかし、過酷な管理などなくマネージャーも雇えない大人になったジュディなら、自分次第でなんとかしっかりやれたんじゃない?自業自得じゃない?という感情もあり、なんとなく映画を観終わったあとはモヤモヤが残る。
子供の頃からのクセは抜けにくいとか、眠れない体質になってしまったとか色々あるとは思うけど、彼女にとってそれを克服しリスタートするきっかけが人生のどこかにあると良かったのになと、なんとも切ない気持ちになりました。
アむーレ

アむーレ