Toco

幸福なラザロのTocoのネタバレレビュー・内容・結末

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

宗教性というものを現代社会に持ち込む異質感。冗談を理解できないラザロは善良というよりも発達障害のよう。小作人の老け方がまちまちなのはキャスティングの問題だろうか。タンクレディは老人にしか見えない。(タンクレディってすごい名前だ)
小作人たちの村の外に狼はいたのであろうが、それは実際よりも恐ろしいものとして彼らは捉えている。そういう俗から離れた存在(聖なるもの)の象徴である狼が、実際は崖から転落して死んでしまったラザロを再生させたのだろうか。
後半パートでも小作人は貧しくトランクレディは自暴自棄である。ラザロは兄弟という言葉を信じたゆえに何度も傷つく。無垢なラザロに感情移入はできず、むしろ周囲の人間の俗悪さが際立つ。しかし周囲の人間とて完全な悪でもない。その絶妙なリアリズムが引き立つのは、ラザロという存在があるからかもしれない。ラザロという光によって、私たちは私たちが善良ではないことを知る。
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