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COLD WAR あの歌、2つの心の一人旅のレビュー・感想・評価

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)
3.0
パヴェウ・パヴリコフスキ監督作。

冷戦時代の欧州を舞台に、ピアニストの男と歌手の女の愛の軌跡を描いたドラマ。

前作『イーダ』(13)がアカデミー外国語映画賞を受賞したポーランドの鬼才:パヴェウ・パヴリコフスキ監督最新作で、『イーダ』同様全編モノクロの映像により時代に翻弄された一組の男女の姿を見つめています。

冷戦時代のポーランド、ベルリン、ユーゴスラビア、パリを舞台にして、ポーランドの音楽舞踏団で出逢ったピアニストの男:ヴィクトルと歌手を夢見る若い女:ズーラの愛の軌跡を、スターリン崇拝歌を披露させられるポーランドの合唱団や政府による信仰心の有無の確認等、物語の背景に東西冷戦の殺伐とした現実を据えて描いた恋愛物で、政府当局にマークされたヴィクトルがフランスに亡命したことで離れ離れとなった二人が、時間と場所を変えて再会と別れを繰り返しながら、やがて互いを強く想う二人の愛の決着を導き出していきます。

言葉による説明をできるだけ排除した―“受け身ではなく、積極的な鑑賞姿勢”が求められる繊細な作品で、上映時間は88分と短いですが、観客は全てが説明されない一つ一つのシーンから男女の揺れる心の機微を掬い取る必要があります。

時代に翻弄される男女の1949~64年までの15年間における愛の軌跡と運命を描いた恋愛映画で、光と影のコントラストが鮮烈なモノクロの映像美と、民族舞踊&民族音楽、ジャズの旋律が物語に華を添えています。
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