豚肉丸

ある女優の不在の豚肉丸のレビュー・感想・評価

ある女優の不在(2018年製作の映画)
4.2
有名女優の元に少女の自殺動画が送られてくる。映画監督は彼女と一緒に、その少女が住んでいた村に訪れて謎を調査するも...というお話

現実とフィクションが曖昧になる変な味わいがする映画。イラン政府から映画製作を禁じられているジャファル・パナヒ監督が本人役として出演し、ドキュメンタリーチックでありながらもかなり映画らしいショットも混在していて、一体何なのか分からなくなってくる。

村ホラーのような雰囲気も醸し出しながら、本作は「ステレオタイプな価値観に囚われた村」と「イランが抱える問題点」を描き出す。
「女性は嫁いで子供を産むべきだ」というステレオタイプな価値観が浸透している閉塞感溢れる小さな村を舞台に、過去、現在、未来の3つに分かれた3人の女優達の物語が交錯しあう構成がなかなか面白い。
そして本作はなんと言っても車の存在感が半端では無い。パナヒ監督は常に車に乗った状態で映画を撮らなければならないという条件があるからなのか、車を中心にしたカメラワークや長回しショットなどの演出が至る所で見られてなかなか面白かった。でも映画的なショットは多いし本作は完全に映画でしたよね...
3つの時代に分けていると言っても「過去」の女優に関してはアプローチ不足な部分が目立つし、時折挟まる下ネタは何だったのだろうかと疑問に思う部分は多々あるものの、普通に面白かった!
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